2018年 11月 16日

  • TOP
  • 2018年 11月 16日

クリームパンの味

クリームパンの味

まだクリームパンが無かった頃、まだ今よりもヒマヒマでパン作りもお店作りも半人前だった。カスタードクリームをトロトロにしたくて牛乳を多目にして作ったら、焼いた時にパン生地の間からデロ〜ンと出てしまい、中身が少ないクリームパンが焼けた。だけど沢山焼けて捨てるのはもったいないとなり、渋々パン棚に並べた。すると朝パンを買いに女性が来店されて、クリームパンだけを買った。その女性は店を出てすぐに車の中で中身スカスカクリームパンを食べた。その女性は2度と来店する事は無かった。

たくさんのお客さんが「美味しいね」と言ってくれるけど、僕はその時のスカスカクリームパンを提供してしまった罪がずっとへばりついてて満足出来ない。あれからその罪を払拭しようと美味しいクリームパンを作れるようにと改良した。

今のクリームパンは勿論自信を持って出してるんだけど、今日は6個売れ残ってしまい持ち帰って家で食べた。多分僕が作れる最高の味に仕上がってると思った。それでも6個残るんやな。まださらにその上の「美味しいね」あるに違いない。美味しいけどまだ足りないものがある。いや、足しすぎなのかもしれないし。だって最高のクリームパンが売れ残るわけがないやん。全国各地からこれを求めて遥々買いに来るに違いないやん。

加古川の住宅街にポツリとあるパン屋喫茶店だから仕方ないとか、水もの商売そんなこともあるとか、そう言うご意見も頂くけど、それは優しさじゃなくて哀れみに近い感じがする。もっと問答無用で良い店なら場所なんか関係なく流行りまくるに違いない。また仕切り直しです。いつかあの頃のガッカリさせてしまった女性の足がこっちに向くくらいのレベルに達したいものです。