2019年 12月

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8年前

「8年前」

お店は妻と僕とふたりでスタートさせた。僕は今よりも更に弱虫だった。半年で妻はお店を辞めた。
下手な芝居みたいなセリフを今でもはっきりと覚えている。

当時は今よりもパン屋さんよりで、パン棚も立派な物で毎日焼くパンリスト表通り、40個くらいは焼いていた。
僕は手作りパンの喫茶店をすれば、朝からママさんらが焼き立てパンを買いに沢山売れると勝手な思い込みで変な自信があった。実際お店を始めてみると、まるでその日暮らしの風来坊みたいで、売れることは希で、ほぼ暇だった。日曜日の朝ですら老人が2人来ただけとか、ざらにあった。
半年くらい過ぎた頃、お金もみるみる無くなり、余裕も自信も無くなり、夫婦仲もピリピリしてたように思う。

その日の出来事は今でもよく覚えてる。僕がモーニングタイムでパン仕込む理由で妻に「お客さん来たらひとりでしてくれる?」と問うたら、あからさまに嫌々「ええ?」と返されたので、プッツン来てしまった。
僕は今でも思うことだけど、「やらされてするくらいならしない方がまし、やりたい人としか仕事をしない」と決めてるところがある。
とにかく、お店がひまで気がたってて、その「ええ?」だけで妻に当たり散らすという、幼稚な態度をとった。

「出てけ!辞めちまえ!!」

確かにこう言った。ヤメチマエ。

妻は泣きながら鞄を抱えて出て行った。そんな日に限って、ひとり営業してる日に限って珍しく忙しくなるもので、本当にこんなに早くバチが当たるなんて思ってもみなかった。お客さん来店重なるんで仕込むが出来ず、ランチ分のハンバーグが無くなってしまった。母親が見兼ねてランチタイムに手伝ってくれたんだけど、飲食店は素人なんでチョンボが重なる。もう無茶苦茶だった。ハンバーガーを注文してるお客さんなのにハンバーグのオーダーをとって来てしまい、長時間かけて提供した挙句に、違うと指摘され、作り直すにも肝心のハンバーグは無く、お客さんは怒り心頭帰ってしまった。

妻がいない。妻がいないと何一つ成し遂げることの出来ないポンコツ店主の僕。最低最悪な気分で打ちのめされ、流石に「戻って来てくれ」と言うのも虫が良過ぎる、しかし、目の前には沢山のお客さんの不信な眼差し。妻に電話した。繋がったんだけど、気晴らしに神戸に来てる、と言われた。もう無茶苦茶の無茶苦茶だった。提供時間も50分くらいかかってる人もいた。

みんな居なくなって散らかり放題の店内で、ひとりで号泣した。

何でこんなことしてまでお店しなきゃ行けないんだろうか、才能もお金も無いのに。何でするのか。理屈じゃないところでそれにしても「面白い」と思った。何しとんねん無茶苦茶やんけ。こんな大失敗は少ないけど、小さな失敗は毎日ある。人に迷惑をかけてやらせてもらってるんだから、なんとしても良い店を作らないといけない。そうじゃないと一生失敗人間のDVヤロウになってしまうではないか、そんな決意だった。

あれから8年。ついこの前のような気もするし、遙か大昔のような気もする。2年くらい前にお店に妻が帰って来てからも、あの日の決意をたまに思い出す。あんなのはお店じゃない。だから毎日スタッフにあれこれ口うるさく言うし、家に帰っても妻と今日のあのお客さんの対応がどうのこうの、神経質かってくらい話し合う。これで完成とかはずっとないけど、今のところ僕らは前より仲良くしてます。

よすが

よすが

今年は時間があれば、映画を観るようになった年で、じっと観ていられるようになった。10代の頃は毎週TSUTAYAに通ってる時期があり、その頃に見てきた映画で時間が止まっていた。最近あの頃の感覚を少し思い出して、見出している。それとは別に、古本屋も好きで、棚から飛び出して見える本を引っこ抜いて、寝る前に読む。それとも別で、音楽も好きだ。音楽は音量や場所によって聞き方を簡単に変えれて、気楽なのがいい。家で夜中にギターが急に弾きたくなって触ることもある。

「政治」も気になる。これも今年から急に気になり出した。自営業なんで増税やTPP、日米FTE、人ごとじゃなくてモロに生活に直結してることだけに、難しいけどわかりたい。

何が言いたいのだろう。興味が尽きないんです。自分がまだまだ未熟過ぎて、いつも不完全燃焼のままで、ちっとも到達しないんです。毎日話しするのも家族かスタッフだけで、人(他人)とあまり絡むこともない。たまに友達と飲んだりするだけで、随分お喋りした気になる。(酔うたら調子乗る)

いつも途中までしか読んでない本が2~3冊あり、カバンの中にはその日の気分により入れ替わるCDを肌身離さず持ち歩いている。よくわからないものばかり持ち歩いている。未解決なものばかり抱えて困っている。スペクトラム症かもと思う事もあるけど、精神なんか不安定ぐらいでやっとまともやと思うたちなんで気にしない。

誰もが何かを頼って暮らしているんだろうけど、最近その「よすが」が散らかってるように思う。全部繋いで何か凄いことを発明してお店で活かせていけるようになりたい。今日の日記でした、最後までおちなくすみませんでした。